2012年05月21日

■高齢者徘徊SOS(交野市)、父子手帳(和歌山市)、行財政改革(松阪市)視察しました。

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去る5/14(月)〜16(水)にかけて二泊三日で、関西方面へ視察にいきました。

まず、5/14(月)は大阪府交野市の行っている「高齢者徘徊SOS事業」を伺いました。高齢者問題の中でも徘徊は、直接安否に関わることですから、重要案件です。お隣り所沢市では、認知症に伴う高齢者の行方不明が発生した場合、防災無線で市内全域にアナウンスしています。清瀬では、近隣市との申し合わせで、防災無線の使い方は限定されており、高齢者の行方不明では使われません。ので、清瀬市においてはどのくらい高齢者の徘徊があるのか定かではないのですが、顕在化していないだけで、ある一定数はあるものと思われます。

交野市では、市を挙げて、高齢者行方捜索にあたるそうです。とはいっても捜し歩くということではなく、市内の事業所やもちろん市民に至るまで不明者情報を張り巡らせるというものです。徘徊癖のある高齢者には予(あらかじ)め靴のかかとに反射シールを貼っておき、夜道でもすぐ分かるようにしておくそうです。

こうした事業をした背景には、徘徊行方不明の末、池などにはまって溺死状態での案件が続いたためだそうです。

こうした案件に限ったことではありませんが、今後行政の行う事業は財政的にも内容的にも行政だけでは成り立ちません。いかに市民・民間レベルでの協力が仰げるか、ここが最大の鍵となってきます。このようなコーディネートができる行政、もっと言えばこうしたことをコーディネートできる職員の有無が市の盛衰の境目となるでしょう。

父子手帳

続いて翌5/15(火)は和歌山市の「父子手帳」事業について視察しました。

言うまでもなく、お父さんの子育てへの参加というテーマのもと、どこの自治体もどこの組織もどこの家庭も頭を悩ませています。どんな事業であれ、タダで人にものをやらせることほどやっかいなものはありません。特に子育ては、長く家父長制度の続いた日本あっては、妻の役割という偏見もあります。ですから、夫へ、場合によっては夫婦への子育て教育をしていかなくてはなりません。とは言っても、教育もどうやって教えるかが難しいところで、小難しいテキストを配布したところで開いてもくれません。

そこで和歌山市は、若手職員を中心にプロジェクトを組み、20〜30代の若いお父さんに興味を持ってもらえるような編集方針の下、「子育て読本」を作り上げたのです。

上記写真の3冊がそうですが、ファッション雑誌のような表紙。中身も、とても行政が作ったとは思えないセンスの良さ。素晴らしいものでした。30代の女性職員を編集長として、市内のNPOデザイン事務所に政策を委託したそうです(かなり安価でした)。

行政の行うことは、万人、つまり老若男女すべての市民を対象にしていますので、デザイン性は求められません。一番重要なことは「間違いがない」ことですから、デザイン性や分かり易さよりも書かれている内容の正否がすべてになってしまうのです。そうした長年の慣習から、行政の書類は味も素っ気もないものになってしまったのです。

かねて私は、行政の発信するもの、「市報」「ホームページ」などは、“関心をもってもらう意識が足らない”と思っています。お、面白そうだと思ってもらえれば読んでくれますし、読んでもらわなければどんなに情報を出しても意味がありません(※ちなみに清瀬市はその意味ではずいぶん努力をしています。市報もデザイン性・読みやすさを念頭に刷新しましたし、サイトも若手職員のブログなどは大好評です)。

その意味で、今回の和歌山市の父子手帳は、和歌山市にとって市民の関心を引くためにはどうしたら良いかを考え抜いた、ひとつの大きな収穫だったと思います。

松阪市

最後、5/16(水)は松阪市(三重県)です。松坂牛で有名な松阪市ですが、政治の世界では今、山中光茂市長が大変に話題となっています。

市長で有名と聞くと、強力なリーダーシップの元数々の斬新な施策を打ち出す大阪の橋下徹市長でしょう。ところかどころが、松阪市の山中市長も負けてはいません。2009年に県会議員を辞職して市長に当選した当時は、33才で全国最年少市長でした。今のご時勢、若くして政治家になることはそんなに珍しいことではありません。要は政治家としての能力の有無です。慶応大学卒業後、医学部に再入学し医師免許を取得。松下政経塾に入り医師の資格で海外で途上国支援を行う。その後、県議となり、市長です。ある月刊誌での本人の記事によると、大学在学中、学費を稼ぐため、キャパクラのスカウトを6年間していたほどの苦労人です(月刊誌「潮」6月号)。

こうした経歴の市長が「徹底した市民目線と市民参加型の行政で60億円もの借金を返済(潮より)」したり、数十億かかると言われた老朽化による市庁舎建替えも市民の声を聞き、ほんの数億で補強工事のみにしてしまうなど、らつ腕ぶりを発揮しています。

今回、こうした山中市政の施策、市民が市の借金を一目で分かる「借金時計」について、市の行政仕分けについて、市庁舎建替えについて、お聞きしました。

いずれの案件も、要は市民の声を聞きながら、行政や議会だけでなく市民参加の政治を行った結果ということに尽きます。今回の視察は清瀬市にとって、また私自身にとって勉強になるところ大の実り多き視察でした。
※松阪市では、お聞きすることが本当に多くて時間が足らず、市庁舎前での写真撮影などもできず、大急ぎで帰途につきました。そのため、駅の写真しかありません。もちろん松坂牛も食べていません。

Posted by takosuzuki │ ■視察