2012年06月28日

★自治会と協働しての、きめ細かい行政サービスを

自治会と協働しての、きめ細かい行政サービスを

続きまして、「自治会と協働しての、きめ細かい行政サービスを」として二点ご質問致します。

まずは、現在市の行なっている自治会等地域コミュニティの組織化推進の施策です。

個人主義・プライバシーの尊重が地域活動の支障になる

改めて申し上げるまでもなく、近年は市民のライフスタイルが個人化し、他人との関わりを避ける傾向が顕著になってきました。それに拍車をかけたのが個人情報保護法案で、法的にも自分または他人のプライバシーは守られるべきであると、住宅地でも隣は何をする人ぞとばかり、近所付き合いも希薄化してきました。その結果、自治会などの地域コミュニティは加入者が少なくなったりした結果、存続が難しくなっています。

近所付き合いは、ある意味日本の独特の文化と言っても良いでしょう。日本の治安の良さや相互扶助の助け合い精神と言った、海外で賞賛される日本人の美徳も元はと言えば、この近所付き合いの中から育まれたと言っても良いと思います。

隣組・自治会こそ社会保障制度の縮図

隣家や他人の目があるからこそ、そのコミュニティでの規律は守られ、勝手知ったる中間以外の他者に対する警戒の念が防犯にも有効でした。また、子育てや生活困窮者に対する食材の貸し借りなど、あらゆる面で社会保障制度の整った行政の縮図が、そこにはあったのです。

これは私の大好きな藤沢周平の描く江戸時代の長屋の姿、そのものであるとも思います。藤沢周平の描く長屋コミュニティは今で言う、まさに自治会・町内会そのものなのです。

その意味で、今日行政の行う施策は、近所付き合いの濃厚な昔ながらの長屋スタイルを目指していくこと、つまり自治会を機能させていくことがその最大の効果を生むと思います。

しかしながら、現在は冒頭でも申し上げた通り、清瀬市に多くある集合住宅地の既存の自治会も加入者の減少、または脱会者の増加等で存続が難しくなっている、また新しくできた集合住宅地でもなかなか自治会の結成が難しいという実情があります。

このように非常に重要である自治会のような地域コミュニティを作っていくため、また存続・活性化していくために、どのような活動をされてきたか、そして今後どのようにしていこうとされているかお伺い致します。


その上で、喫緊の課題である高齢社会対策として、清瀬市の行っている「高齢者ふれあいネットワーク事業」についてお伺い致します。

今回市が、平成18年より行っている事業をリニューアルし再スタートさせた「高齢者ふれあいネットワーク事業」は大変に素晴らしいものです。

地域でやってこそ実りのある高齢者の見守りが

この事業をより実効性があるものとするために、市も計画されています地域自治会との提携は、まさに慧眼であると思います。縷縷申し上げましたように、自治会のような地域コミュニティこそが地域地域を誰よりも知悉しており、行政にとって目となり耳となり手足となるからであります。ところが実情は、まだ始めたばかりなので軽々に評価はできませんが、自治会との連携も進んでいないとも伺っています。

そこで、今後自治会に「高齢者ふれあいネットワーク事業」に協力してもらうための効果的なアプローチ方法をご提案致します。

野塩団地自治会の行う「見守りサポート」

私の住まう都営野塩団地の野塩団地自治会では、今回市の本事業に協力する形で、自治会独自の「見守りサポート事業」を始めます。それは、野塩団地でもかねて独居高齢者の孤独死や熱中症による死亡事故が続き、その対策を苦慮してきました。その対策として、昨年度は検討会が持たれ、他市でも事例のある黄色ハンカチをベランダに朝掲げ夜取り込むことによって安否確認をするなど検討されましたが、どれも高齢者にとってもまたそれをチェックする人にとっても負担が大きく、継続性に疑問があったのです。そうした折、市の本事業を知り、市の位置付けでは「ふれあい協力員」にあたる役割を自治会役員が担うことで、負担が少なく長く続けられる高齢者対策ができると考えました。

また、こうした事業を行うことによって、今までは自治会に入っても何もメリットがない、役員が回ってきて面倒、会費がもったいないなどと言う人に対し、自治会加入のメリットを打ち出すことができ、新規加入に際してもセールストークとすることができるようになりました。

このように、市の事業、特に高齢者対策などの社会保障事業について、自治会と市の協力体制が如何に自治会にとってもメリットが大きいか、すなわち手間も予算もかからずに、自治会の行う会員サービスになり、脱会防止、入会促進にもなる、ひいては自治会費を払うことが、安心な生活のための保険なのだということを納得して頂ける、これらを自治会の方々にお訴え頂きたいと思うのです。

ご見解をお伺い致します。

野塩団地見守りサポート
野塩団地見守りサポート

 【番場企画部長】
自治会等地域コミュニティの組織化推進についてお答えいたします。

自治会は地域コミュニティの基盤であり、中心的な役割を果たす組織であります。

しかし、現在、市内の自治会組織率は、約40%と高いとはいえない状況にあります。

市では、これまで、ホームページで、自治会の必要性、加入する方法、また、設立する方法などについて周知を図るほか、転入者の方へは「自治会に入いろう」というチラシを配布し、自治会への加入を促してまいりました。また、市報で、「自治会に入ろう」と題したコラムを設け、活発に活動されている自治会の例などを紹介しながら、自治会の必要性、自治会への加入促進を図ってまいりました。

一方、小学校をコミュニティの単位として、地域内の横のつながりを作り、地域の力を高める「コミュニティはぐくみ円卓会議」を六小・七小・三小と広めながら、地域のコミュニティの活性化を図ってきており、現在、3つの円卓会議は、それぞれ防災力の強化などの課題を中心に活発な活動が行われております。

5月からの市報きよせのリニューアルに伴い、新コラム「地域のチカラ向上プロジェクト」を開始しましたが、今後は、既存の円卓会議や自治会で活躍されている方々などにご協力いただきながら、各地域の自治会や円卓会議の推進を図っていくプロジェクトを立ち上げたいと考えております。

このプロジェクトでは、既存の円卓会議や自治会で活躍されている方に、新たに立ち上げる円卓会議が軌道に乗るまでの支援をしていただいたり、自治会設立マニュアルを作成して、自治会設立を支援するシステムを構築するなど、地域コミュニティを活性化し、地域のチカラをより強力にしていきたいと考えております。

次に、自治会と協働しての「高齢者ふれあいネットワーク事業」についてお答えします。

市報きよせ4月15日号でご案内させていただきました「清瀬市高齢者ふれあいネットワーク事業」につきましては、市内の医療機関や金融機関、商店、新聞販売所など230の事業所に「ふれあい協力機関」としてご登録いただいており、年に4回程度「包括支援センターだより」などをお送りして、市からのお知らせや地域包括支援センター事業のご案内などをさせていただいております。

また、「ふれあい協力員」につきましても、現在86人の方にご登録いただいており、定期的な「声かけ」や「訪問」を希望されている高齢者世帯を巡回していただいております。

昨今、大きな社会問題となっております高齢者の「孤独死」、「孤立死」などを未然に防ぐためにも、より地域の生活に根ざした「地域自治会」の皆さんには、ぜひ「ふれあい協力機関」あるいは、「ふれあい協力員」としてご協力いただき、地域の民生委員さんや関係機関と連携いただければ、大変心強いと考えておりますので、今後、各自治会の皆さんに対し、「高齢者ふれあいネットワーク事業」についてのご説明、ご協力のお願いなどさせていただきたいと思います。


【再質問】
今、番場企画部長からお話がありましたように、最近の行政の「自治会をつくりましょう」とか、また自治会の重要性を訴える姿勢は、市報からもとてもうかがえますし、いろいろな広報物を見てもそう思います。 しかしながら、こうした行政のアプローチは、弱いというか手法が違うというのか、なかなか自治会側のニーズと合致していかない。自治会のニーズと行政の施策、ここら辺のマッチングをどうしていったらいいのかというのが、私の苦慮です。

自治会と行政とのマッチングを

先ほどご紹介しましたように、地域ふれあいサービスを導入した野塩団地の例でも、野塩団地は独居高齢者の問題があった、行政もそれにこたえるべきサービスを始めようとされていたということがうまく合ったわけです。自治会の希望しているものと行政の施行されているところ、そこら辺をうまくマッチングしてあげればいいんだろうと思うんです。

何しろ自治会は、報酬がなかったりまたはとても安かったりで、もちろんボランティア組織、自治組織ですから、それは当たり前なんですが、だけれども、問題事、住民トラブルだとか様々な問題が飛び込んできて、これはボランティアでやっておられる方にとっては大変にご負担が大きいわけです。ですから、そういうような一つ一つの問題に対しても行政の助言や手助けがあれば自治会は本当に助かります。

今、社会がどんどん高齢化していく中で、自治会も高齢化していきます。自治会の役員がみんな高齢者という状況になると、自治会の業務は非常にハードになります。

そういうことを考えますと、今回、野塩団地自治会で行う「見守りサポート」の場合、ふれあい協力員のかわりを自治会の役員がやる。もし新聞がたまっていたら、会長に一報するわけです。そして会長は市や地域包括支援センターに電話する。訪ねてくれるのは地域包括支援センターの方。だから、役員の方にしてみたら、ふだんの生活の中で異常があったら、どうしたんだろうねと、今までは隣のおばさんに言っていたものを、今度は会長に言えばいいだけの話なんですね。そうすると、会長がうまく行政ベースに乗せてくれる。自治会と行政の協働作業はこんなにも楽で、そして効が大きい。

今、市内では80数人の地域ふれあいの協力員がいらっしゃるということでしたけれども、野塩団地には現在2人いらっしゃいます。その2人のうちのお1人はもう81歳の方なんです。地域ふれあい協力員が81歳なんですね。野塩団地は今約800世帯ですから、800世帯を2人、しかも1人は80何歳じゃ、これは結構きついです。

自治会と行政がしっかりと手を組んでいくいうことは、お互いにとってありがたい話なんであろうと思います。

自治会の業務をサポートする専属部署を

ぜひ地域コミュニティ課のような部署を、自治会マターを専属で行っていただくような部署があってもいいと思います。さっき言いましたような住民トラブルの件、これが一番比重が大きいと思うんですが、それから、自治会という組織の経営ノウハウ、そういう場合はこういうふうにしていったらいいんですよとか。また、都営住宅の場合は、駐車場管理という業務が東京都からおりてきていまして、これは金銭を生む業務なんですね。したがって、年度年度に収支を出さなければいけないとか、面倒な作業がたくさんあります。一介の普通のおじさん、おばさん、またおじいちゃん、おばあちゃんにとって、物すごく負担の大きいことなので、そういったこともアドバイスができるような部署があると、自治会の役員も受け易くなると思います。

自治会からの要望は組織としてしっかり対応せよ

それから、大事なことはもう一つ。市長や皆さんへ市民から直接ご相談が行くことがあると思います。ひとつひとつ誠実にご対応いただいていることは承知していますが、市民ではなく自治会からご相談行った場合にも同じように、またそれ以上にご対応頂きたいと思います。自治会であれ一市民であれ、どの市民の声ももちろん重要であることは論を待ちませんが、自治会という組織として意見を集約し何か陳情を持ってこられた場合、これはこれで行政組織として、しっかりと対処していただきたいと思うんです。

というのも、先般こうしたことがあのました。ある地域で冠水がある。毎年ゲリラ豪雨になると冠水する。ここの自治会の方が何とかしてほしいと毎年役所に陳情に来られているそうです。市はそのたび予算がありませんからできませんとの回答だそうです。この春、組織改編が市にありました。自治会では今年もまたこの間のゲリラ豪雨を受けて、写真もいっぱい撮って陳情にやって来られた。ところが、新しく課長として来られた方は、これまでの経過を聞いていらっしゃらない。自治会にしてみたら、今まで何十年も陳情してきたのに、新しい課長は何も知らなかった。今まで積み上げてきた陳情は何だったんだと愕然としてしまったわけです。

そうした陳情の引き継ぎがちゃんとなされていないということは論外としましても、自治会は先ほども申し上げましたように役所にとっては行政の手助けをする手足のような存在ですから、自治会からの案件は、出張所からの苦情ぐらいに手厚く早急に処理しますぐらい言っていただくと、自治会も有難く思いますしより行政の施策のお手伝いをしてくださるようになると思います。それこそが行政と地域コミュニティとのパートナーシップだと思います。

Posted by takosuzuki │ ■議会報告/City Concil Report | 優しいまち-福祉