2019年01月10日

★よりよい避難所のあり方について/平成30年6月議会

よりよい避難所のあり方について

国際的に見て自然災害のリスクの高い我が国ですが、2011年の東日本大震災以降は、特に大震災の発生確率が高まっているという指摘があります。特に地震に限らず、一たび災害が起これば、木造建築物の多い我が国では避難所開設が余儀なくされます。

災害後に死なないこと
災害から生き延びるための対策として、災害そのもので死なないこと。そして、災害後の長引く避難生活において死なないことの二つがあります。

実際、2年前の熊本地震では、震災後に亡くなられた「災害関連死」と認定された人は約210人で、これは建物の倒壊など、地震を直接の影響として亡くなった50人の実に4倍以上です。この200人余の方々が亡くなった状況について、ある団体が市町村に調査をした結果、避難所の生活や車中泊を経験した人が少なくとも95人、全体の45%に上ることがわかりました。

このように、防災において発災そのものに対する対策は多く語られますが、震災後の避難所生活には、より死または健康被害リスクがより高いにもかかわらず、触れられない嫌いを感じるのです。

よりよい避難所とは
そこで、今回、私は避難所生活にスポットを当て、よりよい避難所のあり方について提案をしてまいります。

現在、我が国での避難所の形態は、学校体育館などを利用したもので、大勢の避難民を一度に受け入れる形として、必然的に、またこれしかないであろう妥当な形態となっています。しかし、この形態は非常に劣悪で、国際的な基準である「スフィア基準」を満たしておらず、ソマリアの難民キャンプよりも劣悪な環境であるという指摘もありました。

スフィア基準とは
「スフィア基準」とは、アフリカ・ルワンダの難民キャンプで多くの人が亡くなったことを受けて、国際赤十字などにより20年前につくられました。その後、災害の避難所にも適用されるようになり、日本では聞きなれませんが、紛争や災害の際の避難所環境の最低限の基準として、海外ではその物差しとされています。

具体的には、人間の生命維持に必要な水の供給量、食料の栄養価、トイレの設置基準や男女別の必要数、避難所の1人当たりの最小面積、保健サービスの概要などの詳細が定められています。

例えば居住空間についても、1人当たりのスペースは最低3.5平方メートル確保すること。3.5平方メートルとは、およそ畳2畳分です。寝返りを打ったり、スペースを保ったりするために、最低でもこれくらいは必要だとされています。熊本地震の際、またいずれの場合でも避難所では、その被災規模が大きければ大きいほど、避難者1人当たりのスペースが1畳ほどしかありません。

また、トイレについても20人に一つの割合で設置。避難所でトイレが足りなくならないようにするためには、最低でもこのぐらい必要だと指摘されています。さらに、大事なのが男女比です。男性と女性の割合は1対3、これは一般的にトイレにかかる時間が、女性は男性の3倍の時間が必要になるからだということです。

これらの指摘、つまり日本の避難所が「スフィア基準」に照らして劣悪であるとの問題が提起されたのは、この熊本地震におけるアルピニスト、野口健氏の支援活動によってです。氏は熊本地震に際して、その支援活動の一環として、登山家として使いなれたテントによる避難所を開設しました。その中で、国内外より意見が寄せられた中で、「スフィア基準」による避難所開設のノウハウを学んだというのです。

氏は独自でテントを集め、結果的に150張りのテント村を開設し、そして「スフィア基準」に従ってテントの大きさを決めたり、トイレを数多く設置するなど、より快適な避難所として熊本の避難民に大変喜ばれたそうであります。

そこで、清瀬市において、各校において避難所運営協議会が活発に協議をされていることでもあり、有事の際の避難所のあり方として、テントタイプの避難所を模索してはいかがでしょうか。そして、また今後の避難所運営において、「スフィア基準」を一つの避難所運営のガイドラインとして定着させてはいかがでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
【答弁/松村光雄総務部長】
大規模災害となれば、長期的な避難所生活を余儀なくされる方が多々あることは、これまでの震災事例からも明らかでございます。こうした避難所生活について、より円滑な運営を図れるよう平時より学校避難所運営協議会の立ち上げや、総合水防訓練及び総合防災訓練時において、地域住民を交えて模擬運営訓練を実施しているところでございます。

さて、ご質問がありましたテントタイプの避難所でございますが、2年前の熊本地震の際に活用されたことは承知しております。この活用のきっかけは、議員ご紹介の有名登山家が被災者が求めているのはプライバシーではないかといった呼びかけをSNSを通じて行い、これに岡山県総社市などが応じ、地震発生10日後に110張りのテントを農村運動公園などに設置した経緯がございます。子ども連れの世帯では、避難所では子どもが泣きやまず苦労したが、テントでは気にせず過ごすことができる。また、車中泊の避難者においては、足を伸ばして十分に休むことができると大変好評だったとの情報を得ております。

このほかにも自主的にテントを張り、野営を行う避難所も被災各地であらわれ、中には農業用パイプハウスで生活する避難者も、熊本地震では話題になりました。その一方で、従来の学校避難所、体育館などの屋内スペースにおいて、有名建築家が手がけた紙管と布を組み合わせて四方を布カーテンで囲う間仕切りが、2004年の新潟中越地震以降から注目され始め、熊本地震においても当初に国が1,000セットを被災地へ送り、発災50日後には2,000セットほどに増設され、避難者はプライバシー確保に大変有効だったとの話を聞いております。

本市では、現在、各学校避難所運営協議会が、避難所での想定人数によるパーテーションや、プライベートスペースのあり方について協議しておりますが、先進的な運営協議会では使用済み段ボールを速やかに調達できるよう、学校避難所からほど近い小店舗などと個別に協力依頼をするなどの取り組みも出てきております。

いずれにいたしましても、ご提案の内容を含め、避難所生活の居住プライベートスペースは重要な問題であることから、テントや間仕切りになる日用品を扱う企業などと災害時の協定締結を行うなど、あらゆる角度から研究、検討を行ってまいりたいと考えております。
できれば自宅を避難所に
私、そもそも避難所というのは、使うべきじゃないという持論を持っていて、いや誰だってそう思いますよね、あのごった煮の中で。もちろん、家が流されちゃったとか、家が倒壊しちゃったとかいう中で、緊急避難として1日、2日いる分にはそれはいたし方ないけれども、そこで一月、二月、生活する場では当然ないわけです、あそこは。やはりそれを何とかほかにいい施設がないから、仕方がなく体育館を利用してやるわけです。

今回、議長にお許しいただいて、この本を持ってきましたが、野口健氏の「震災が起きた後で死なないために」という本を、私、読んでなるほどなと思ったのは、私はもうかねて、だから避難所は使うべきじゃないと。自分の家を避難所たるべき、だから地震が起きても倒れない、または地震が起きても家の中のたんすが倒れてこない。地震が起きても自分の家が避難所になるんだというふうにしなさいと言っていたんだけれども、この本を読むと、大きな地震が起きた後は当然余震があります。自分の家が避難所になって、自分の家で頑張るんだって言った人も、余震が起きるたびに倒れてくるんじゃないかと思うそうなんですよ。ああ、なるほどなと思いまして、確かにそうかもしれない。それで、家が仮に倒壊をしていなくても、避難所に逃げてくる人が大勢いるということらしいんですね。

復興のためのリスタートの場所が避難所
その中で、やはりある一定数の人が避難所に来るというのは、それは当然とめることはできないわけですから、であるならば避難所をより快適な場所にしていかなければいけないというのは非常に自然なことですね。野口健氏が言うには、震災で壊れるまちや、または自分、人の人生が壊れる。その中で、復興していくために、避難所というのは復興のためのリスタートの場であるという定義をされているんですよ。そのためには、避難環境が劣悪ではだめだし、安心できる場所でなければいけないし、落ちつける場所でなければいけないし、ゆっくり休めて、ゆっくり寝れる場所じゃなければいけないんだと。その中で、英気を養うことによって、次への復興へのスタートが切れる場所、これが避難所であるという定義ですね。本当にそうだと思います。

テントについても、ご答弁あったようにプライバシーが保てる。よく言いますが、体育館の中では本当に話すらできない、せき一つだってしにくいというところです。テントであれば、そういうことは全くない。プライバシーは完全に保たれる。建物の倒壊の恐怖がありません、テントだから。不安がないですね。それから、ペットと一緒にも過ごせるわけです。自宅から遠いところの避難所じゃなくて、自宅の近くでも屋外で設置できるわけですから、そこでもできるということであります。

テントは各家庭に常備を
今回、質問でもあったように、私はそれを行政としてテントを十分に買えということは、これなかなか申し上げにくいんですが、やはり避難備蓄品としては、私、常日ごろ思っているのは、その災害のときにしか使えないものを備蓄しても意味がない。災害じゃないときでも使えるものでなければ意味がないと思っているので、そういう意味で学校の運動会なんかで、よく都内なんかでは運動会でテントを張っているところがあるんですよ。何か一つのレジャー感覚でね。そういうような普及ができると、本当はちょっとこれ聞こうと思ったんですが、0分になっちゃったので聞きませんが、ぜひ運動会でもある規律の中で、ルールの中でテントを張ってもいいよとすると、いろいろな人たちが家庭に1個、テントを常備するようになるでしょうし、それは防災のときにも大変に役立つものとなってくるかと思うので、テントを使ってもいいよという形でご研究いただいて、一朝有事の際に備えていただければと思います。

Posted by takosuzuki │ ■議会報告/City Concil Report | 防犯防災