2022年08月31日

★多世代間交流の推進を/令和4年6月議会

多世代間交流の推進を

団地や昔からの住宅地は高齢者しかしない
少子高齢社会は、地域にあって高齢者ばかりが多くなり、子どもの少ない環境をもたらします。新しい住宅地では新築住宅を購入できる層、すなわち若い世帯を中心に構成されますが、古い住宅地や団地などはほとんどが高齢者夫婦や伴侶を亡くされた独居高齢者世帯で占められています。

清瀬市でも近年、新しい住宅地が多く造成され、若い世帯の住む地域が生まれている一方で、都営住宅などの団地や古くからある住宅地では高齢者ばかりとなっています。地域によって世帯の構成員が異なってしまうと、ますます世代間の格差は広がってしまいます。

近年叫ばれる多世代間交流は、子育て支援という観点や、または高齢者の健康年齢アップなどに加え、健全な地域社会をつくり出すことにも大きな意味があると考えますし、行政にあっても多世代間交流を積極的につくり出そうと苦心されていながら、言うほど簡単でないことはよく承知をしています。

野塩団地シニアクラブ“むらさき会”のモデル活動
私の住む地域のシニアクラブ、むらさき会では、ちょうど4年前の平成30年5月より、多世代間交流を目的とした野塩本家食堂を始めました。もともとは子どもの貧困対策として、日本社会事業大学の学生の発案に地域の大人たちが協力して始まったものですが、そもそもこの野塩団地には子ども世帯が少なく、食事も食べさせてもらえない子どもの存在が顕在化していなかったことから、対象に高齢者も含め、料理を一緒に作り、食べることによる高齢者の孤立化防止と、多世代が交流できる場として開始をされました。コロナ禍の始まる去年の初めまで、月1回のペースで行われてきました。

本家食堂の様子
本家食堂を提案主宰した社事大の内山さん(当時)

運営は日本社会事業大学と一部明治薬科大学の学生、そしてむらさき会です。月ごとに献立を決め、食材を買い出し、調理し配膳する。一連の作業を学生とシニアクラブが和気あいあいと行いました。もちろんお客さんは7割が高齢者で3割が若い世代と、まさに多世代間交流が実現していました。

また昨年は、野塩地域市民センターで行われていたつどいの広場事業が、野塩地域市民センターの耐震化工事による代替会場として、むらさき会のいこいの家を使わせていただくことになりました。もともとむらさき会では平日昼間の時間帯は何かしら活動していたため、従来のシニアクラブの活動を行いつつ、いこいの家の片隅にてつどいの広場事業も行うという共同使用の形で行い、それも大変に好評でした。むらさき会がカラオケをやっている日の集いの広場では、集われたむらさき会の方が子どもたちにも分かる歌をと、童謡ばかり歌ってくださったということもありました。

このように多世代が交流することによって様々な効果が生み出されます。高齢世代にとって刺激になったり、また子どもたちにとっても核家族化した家庭にあって、身近におじいちゃん、おばあちゃんの存在を知り、情操教育にも寄与します。

このむらさき会の多世代間交流を参考に、他地域にあっても交流の場を広げていってはいかがでしょうか。

【答弁/渡辺研二福祉・子ども部長】
日本はかつて例を見ないほど、人口減少、高齢化社会を迎えています。そのような中、地域社会においても、人間関係の希薄化により、子育て世代や若者、高齢者などが孤立し、様々な不安や悩みを抱えています。社会は多様化するニーズに対応するため、便利で機能的となり、核家族化、さらには地域社会に依存しなくても生活できる社会になったことで、共助の必要性の希薄化や、地域での連帯意識が弱まっています。こうした中、多世代間交流は今後大きなキーワードとなり、地域にとってなくてはならない拠点になると考えています。

多世代間交流は各世代それぞれにメリットがあり、例えば高齢者は子どもたちと触れ合うことで、元気や意欲、生きる活力がもらえると言われています。一方、子どもたちは高齢者から知識や経験を教わることができます。また、家族や学校だけに限定された人間関係が広がり、思いやりや感謝の心など、人間性が育まれると考えられます。

そういった意味では、鈴木議員がご紹介してくださいましたシニアクラブ、むらさき会をはじめ、いろいろな方が携わって実施した野塩本家食堂は、いこいの家を使用する高齢者だけではなく、地域の子どもたちを交えた世代間交流の場としてとても効果があった事例と考えています。

今後、野塩団地の建て替えに伴い、仮称でございますが、野塩集会施設建築工事を実施する予定でございます。既存の老人いこいの家の代替施設となりますが、従来のいこいの家の利用方法にとらわれない施設にしたいと考えており、多世代間交流も視野に入れて、9月の議会で設置条例の策定を上程したいと考えております。

建物が完成し、どのような形で多世代間交流ができるのか検証をし、可能で効果的な方法を見つけることができれば、今後、清瀬市の公共施設再編計画に合わせて、他の地域へと拡大していきたいと考えております。

ご答弁では、ハードとして多世代間交流ができる場として、たまたま今回野塩団地のいこいの家ということで展開されていたことを例に出しましたので、野塩団地のいこいの家については、いこいの家という形ではなく、多世代間交流ができる、ある意味、多目的な施設として、今後できた暁には条例改正をしていきたいんだよと。そうすることによって、シニアクラブだけじゃなくていろいろな人に使い勝手のいいようにしていきますよというご答弁だったですね。

地域から多世代間交流を知ってもらう
会場提供しますというのは、これはもちろん大事なことなんですが、一番大事なのは、やはりこの多世代間交流というのが行政マターですよね。いわゆるこの我々市民レベルで多世代間交流をしていかなければいけないと求めているわけでは決してないわけですよ。核家族化というのは、ある意味、ドメスティックに内に籠もるほうが、他人と交流するのが面倒くさい、煩わしいからドメスティックに内々に困っていく。いや、そうじゃなくて、他者との接点がより人生を豊かにしていくんだよと。それはもっと言えば健康やら、いろいろなことがありますが、そういうことを行政マターとして多世代間交流を市民の皆さんに知っていただこうということだから、やはりこれは働きかけを十分にしていく必要があると思います。

さっき私申し上げた、野塩団地の本家食堂にしてもたまたまですよね。日本社会事業大学のある学生がぜひこういうことをやりたいんだとおっしゃった。地域コーディネーターの方がそれを聞いて、いろいろ聞いていく中で、たまたま野塩団地の会長がそういうことに熱心らしいよと言ってぽんぽんぽんと話が進んで、明治薬科大学の寮のご飯を作っていらっしゃる方が協力するよと言ってくださったり、シニアクラブの方もおれもやる、私もやると言ってくださった。それで、買出しに行って、料理を作り、配膳を出して、ほらぐずぐずしているんじゃないよなんてシニアクラブのおばあちゃんに叱られたりして、すごい何ていうかそういう意味では丁々発止で本当大丈夫かなと最初は思っていましたが、一部明治薬科大学の学生も入っていたりして、もう本当にぐちゃぐちゃな、もうこれが私大事だと思うんですよ。そういう場をいかにしてつくっていけるのか。これは行政の課題だと思います。

その意味では、今地域包括で展開していただいている地域コーディネーターの方とか、こういう人たちやはりキーマンと言ってはいけないの、キーパーソンになるかと思います。ぜひ地域コーディネーターの方、または民生委員の方、または市議会議員でももちろんいいんだと思いますが、そういう人たちが常にそういうアンテナを張り巡らしながら、ここでこういうことができるなということをやっていければなと思うんですね。

野塩団地の憩いの家の指定管理化について
それから、おとといの議論で、部長から野塩団地のいこいの家については指定管理にしていくんだというお話がありました。今公園の指定管理の話していましたからね、いこいの家も指定管理にしてしまって、何か変な業者が入ってきたなんて私はちょっとイメージしてしまったんですが、部長が本来言いたかった、野塩団地いこいの家の指定管理制度についてもうちょっと細かく教えてください。
【答弁/渡辺研二福祉・子ども部長】
確かに議員おっしゃるとおり、現在老人いこいの家は指定管理制度の導入はしておりません。今後、この施設を多世代、多目的に使用できるような施設を目指しておりますので、そうなりますと指定管理制度を導入し、管理を委託するほうが望ましいと思われております。

前例でございますが、例えば下清戸集会所は下清戸自治会に指定管理者になってもらっておりますように、地域の方々に地域の特性を生かして、地域のニーズに合った使い方をしていただけるような指定管理者に管理をしていただけば、それにこしたことはございません。

だから今、下清戸集会所のお話を出していただいたように、そこの地域の集会施設に全然知らない会社が入ってきてということではないんだよと。その自治会でそもそも、その集会施設を使っているその地域の自治会が指定管理となって使っているんだよという例をご提示いただきました。

野塩団地憩いの家を指定管理化するメリット
さっきの野塩団地の本家食堂も、または、つどいの広場をいこいの家でやった件も、実はもともとはいこいの家だから目的外使用なんですよ、本来。だから、会長としては私はいいが、役所にお伺いを立てなければと役所に伺って、こう使ってもいいですかときちんと許可を取ってやったわけで、恐らくもしそれが、シニアクラブが野塩団地の集会施設、常日頃使っているのはそのシニアクラブであるむらさき会なんだが、むらさき会、ではちょっと指定管理やってよということになれば、もしそういうニーズがあったときに、または自分たちでそういう地域でこういうことをやりたいんだということがあったときに、自分たちの裁量で行えるということですよね。それはもうぜひ地域に根差した、地域に合った、実情に合ったやり方だと思うので、このやり方はぜひやって、お願いしたいぐらいですね。ぜひお願いいたします。

地域要望から物ごとは成っていく
ただ私1点懸念なのは、やはり地域包括もそうなんだが、いろいろなこういうことをやってもらおう、こういうことやってもらおうというのがいっぱいあるんですよ、何とか体操とか。いやそういうのというのはよくない。やはり物事というのは基本的にはボトムアップで、地域のニーズに合ってきたものと上とがうまくドッキングできたものが一番物事というのは成就するものだから、そこら辺は乱暴にならずに丁寧にやっていただきたいと思います。野塩団地の集会施設もお待ちしております。よろしくお願いいたします。

【参考】
「のしお本家食堂」開設されました。2018年05月31日記事
「のしお本家食堂」、絶賛継続中!! 2018年09月04日
野塩地域センター改修中のつどいのひろば代替施設、協力しました。 2021年09月19日記事

Posted by takosuzuki │ ■議会報告/City Concil Report | 優しいまち-福祉