2026年03月07日
★ 清瀬の「農」を教育に/令和7年12月議会

先日、総務文教常任委員会の視察において、福島県喜多方市を訪問しました。同市も清瀬市同様、豊かな農業資源を背景とした街ですが、そこで実践されていた「農業科」の取り組みは、私の予想をはるかに超えるものでした。それは単なる栽培・収穫体験にとどまらない、「農を教える」のではなく、「農で教える」という明確な哲学に基づく教育でした。
■小学校農業科(喜多方市)、Z世代活躍係(郡山市)、視察しました。2025年12月20日記事
子供たちは作物を育てる過程で、理科的な観察眼や社会の仕組みを学び、命の尊さを知り、食への感謝、そして労働の喜びを肌で感じていました。教科書だけでは伝えきれない「生きる力」を育む、この統合的な学習スタイルに大変感銘を受けました。何より、我が町の基幹産業としての「農」をリスペクトする教育であると感じました。
この学びを清瀬市の教育行政にも活かすべく、以下3点について質問をいたします。
喜多方市の事例を踏まえた「農を使った教育」の推進について
本市においても、各校で学校農園などの活動は行われていると認識しています。しかし、喜多方市のように教科横断的な学習ツールとして農業を明確に位置づけ、カリキュラムとして体系化されているでしょうか。農業を通じて環境問題や地域の歴史、経済の循環までをも学ぶ、全人的な教育を行う考えはないでしょうか。清瀬のアイデンティティである「農」を、単なる体験行事ではなく、特色ある学校づくりを標榜する清瀬教育の根幹に位置づけてはと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
学校プールの今後のあり方について
そして、私の提案する清瀬における「農教育」の特徴は、その展開場所です。それは「学校プール」です。

使わなくなった学校プール
現在、学校の水泳指導は全校ですべて民間委託へと移行し、学校プールは未利用施設として放置されています。この使われなくなったプールを、農教育の実践の場「スクールファーム」として再生・提供をしてはいかがでしょうか。
学校プールを活用した農教育(学校ファーム化)の提案
実は、プールという構造物は農業に非常に適しています。第一に、遮るものがなく日当たりが抜群に良いこと。第二に、もともと水を貯める施設であるため、水利の便が良いこと。そして第三に、高いフェンスに囲まれているため、農作物への獣害や防犯対策が容易であることです。底面を利用したプランター栽培や最新の養液栽培、あるいは浅く水を張ることで「学校田んぼ」として稲作を行うこともできるでしょう。多額の費用をかけて解体・整地する前に、プールという堅牢な構造(遺構)を生かし、コストを抑えつつ最高の農業体験施設として再生させる。これは未利用施設の解消と、特色ある農教育の推進を一挙に解決する一石二鳥の施策になると考えますが、いかがでしょうか。
何より、今まで使われなくなった学校プールが、水が入っていないことによるコンクリートの劣化や、雨水が溜まることによる衛生面での懸念など、負の遺産となりかねないと心配です。教育財産の有効活用の観点からも放置はいただけません。学校プールの解体など、今後の方針、あるいは跡地活用の計画についてもお伺いいたします。ご所見をお伺いいたします。
【答弁/大島教育部参事】
私からは「喜多方式の農を使った教育」についてご答弁をさせていただきます。
喜多方市との共通点と現行の体験活動
議員からご紹介いただきました喜多方市の取組につきましては、特に地域の特色を踏まえて、実体験を重視した活動を進めている点に、本市との共通点を感じております。
本市の小学校においても、1・2年生の生活科で花の種を植えたり、苗を育てたり、3年生の理科で、春夏秋冬と、それぞれの季節で植物の成長を観察したりする際に、学校近くの公園や農園等を利用して、実際に体験をさせることで、生き物の大切さや四季の美しさを実感できるようにしています。
地域と連携した農産物の栽培・販売と職場体験
また、校内の畑において大根を育て、学校支援本部を通して、地域の方々に販売をしている小学校や、職場体験学習において、地域の農家の皆さんのご指導の下、収穫体験を行っている中学校もございます。
伝統野菜の栽培と食育を通じた学び
さらに、教育委員会として食育の研究を指定している学校では、江戸野菜の一つである寺島ナスや、地域の方からご提供いただいたナスの苗木を育てるとともに、収穫したナスを給食の食材として利用することで、伝統野菜を含む栽培の喜びを体感する取組も行っています。
小中連携教育における系統的な体験活動の検討
今回ご紹介いただいた喜多方市の農業科は、発達の段階に合わせた体験活動が系統的に設定されており、現在、小中連携教育を進めている本市において、9年間の学びを想定した体験活動の在り方を検討する際にも、参考になると考えております。
農業を「手段」とした教育の可能性と今後の研究
また、喜多方市は、「農業を学ぶのではなく、農業『で』学ぶ」という考え方で取組を進めており、目的ではなく、手段としての農業の位置づけで実施していると認識をしております。教育の目的を達成する手段は多様ですが、他自治体に勝る産業である本市の農業は、その取組の一つであるとも考えています。
今後も、喜多方市のような先進地区のよい取組を参考にしながら、本市としての特色ある取組を研究してまいりたいと考えております。
【答弁/南澤教育部長】喜多方市の「農教育」に見るカリキュラム化と農業への敬意
続けて私から教育行政にかかる「学校プールの今後」と「学校プールを使った農教育」についてお答えをいたします。
民間施設への移行と学校プール廃止後の活用方針
市では、清瀬市立学校における水泳指導基本指針に基づき、令和5年度から順次、学校プールの運用を停止し、今年度においては、全ての小中学校が民間施設を活用した水泳授業を行っています。
また、この基本方針において、委託後の学校プールの施設の跡地利用については、各学校の実態に応じて市が随時検討し、判断を行っていくとしているところでございます。学校プールの廃止は全国的にも広がっており、廃止するばかりではなく、太陽光発電設備を設置したり、防災倉庫に転用したりとするといった特徴的な活用例もございます。
市内小学校における具体的な転用事例
一方、本市におきましては、清瀬第四小学校においては売却をすることとし、また、清瀬第十小学校においては、学童クラブの建設用地への転用を、庁内の横断的な検討を経て図るなど、個別の状況に応じて対応しているところでございます。
現在、未活用のプールの活用の方向性については、プール施設の配置や、学校周辺の公共施設の設置状況、児童・生徒、また学童クラブ利用者の数の見通しなどを踏まえつつ、学校での活用を含め、市全体の財産として、適切な活用を検討いたします。
農業体験を通じた教育的意義の認識
次に、議員よりご提案いただきました廃止後のプール施設を農地として活用する可能性について、お答えをいたします。
現状、幾つかの学校におきまして、校内に畑を作り、作物を育て、収穫し、給食の食材に用いるなど、食育の一環として農業体験を取り入れている学校があり、これらの取組は、大変重要な教育機会であると認識をしております。
プール施設を農用転用する際の技術的課題
一方、プールをそのまま農地として使用する場合には、水をためる構造である槽について水はけをよくする形に改修する必要がございます。また、日射の確保や土づくりなど、食物を育てるための環境整備が求められるため、実現には様々な技術的な課題が伴います。そして、プールの配置状況によっては、土ぼこりや臭気などが近隣に与える影響も十分に配慮する必要がございます。
持続可能な運用体制の構築と目的の明確化
議員ご提案のプランター栽培や、最新의養液栽培、学校田んぼといった具体的な取組は、費用の抑制やプールの再生を期待できる一つのご提案だと考えております。しかしながら、教育効果を最大限に高める取組を行うためには、このような施設整備面だけでの課題の解決だけではなく、運用体制の構築も不可欠となります。
具体的には、教育課程の中で、教職員を中心に児童・生徒が主体的に活動するのか、また、地域の方々と協働する場とするのかなど、まずは事業の目的を明確にする必要があると考えております。また、その目的に応じて、持続可能な管理・運営方法を構築することも欠かせない課題であると考えております。
地域特性と費用対効果を踏まえた今後の検討
いずれにいたしましても、学校における廃止後のプールの施設活用の在り方につきましては、学校や地域の特性に応じて検討すべき課題であると認識をしております。活用方法の具体の検討は、学校の発意や地域の要望を踏まえるとともに、活用に係る費用の検証も併せて行いながら、進めてまいりたいと考えております。
それでは、最後に、喜多方の農教育について、喜多方の農教育もこれ、すばらしくて、いわゆる体験農業ということじゃなくて、いわゆるもう実技としての体験ということだけじゃなくて、学科としての教科書も整備をされていて、しっかり座学としても教わりながら実技もする。年間で何百時間といったかな。ちょっと忘れちゃいましたけれども、年間70時間。だからこまにすると。週に1こまぐらいで小学校3年生以上の人にやっているということでした。これカリキュラム化してやっていくということが、またやっぱりすばらしいことだなと思いますし、さっき申し上げたけれども、やっぱり農業という基幹産業と言っていて、それは何にも触れないで、ただ言っているだけ。清瀬市は、基幹産業は農業なんですよって言っているだけというのはやっぱり何ていうか、ちょっと軽んじているというか、喜多方のようにしっかりと学校教育で教えるというリスペクトを感じるし、リスペクトを与える教育だと私は思って、感銘を受けたということであります。
未使用プールの活用に向けた教育委員会からの逆提案
場所について、プールもついても、もったいないなって思うんです。さっきも申し上げたように、プールそのものを使うということもあるでしょう、土を持ってきて。そういうのはまた大変だから、プランターを置いてということもあるだろうし、そういうことを先ほど来、答弁にあるように、学校として、教育委員会として、こうやりなさいではなくて、もちろん教科としてやるのは大変だから。
そうじゃなくて、特色ある学校づくり、各校からプレゼンテーションされている。うちの学校、こういうふうにやりますよって。その中の一つの逆提案として、教育委員会からの。未使用プールについて何かアイデアないかというようなことでもいいと思う。必ずしも農業に結びつかないかもしれないけれども、だけどいろんなアイデアが出てくる可能性ありますね。ビオトープやりたいというところもあるかもしれないし、農業、そこで作物を植えるにしても、土が要りますよね。要ります、やっぱり。土が当たり前ですね。

学校プールを使った農園イメージ
地域資源の活用とコミュニティ・スクールとしての連携
土も空堀川のしゅんせつでいっぱい出てくるんですよ、今。その土は中里団地の中里地域センターのところに山積みにされているんですね。あれは農業関係の方に聞いたら、やっぱりとても肥沃な土だと伺っているし、そしてまた教える人、運用の問題もあるっておっしゃいましたけれども、基幹産業が農業なんだから、清瀬市内には農業に従事されている方がたくさんいる。やっぱりお願いしようと思ったら、もしかしたらやるよと言ってくださる方もいると思う。何より学校が地域と関係ない、清瀬が、基幹産業が農業だろうが何だろうが関係ない。学校は学校で教えることがあるんだということでは、やっぱりせっかく今標榜されているCS、地域連携ということとなかなか結びついていかないと思うんです。
地域の専門家との協働による教育活動の可能性
私が直接関わっています清瀬第四中学校は、近くに松村園芸さんがあって、中学で農業というのはなかなか難しいかもしれないけれども、であれば、お花を植え、やってもらおうとか、そういうこともあろうかと思う。場合によったら、果物を植えてもらおうとか、いろんなことが考えられると思うので、それこそ教育委員会として逆提案をしていったらいいかと思うんですけれども、教育長ちょっと残りの時間を、ご意見を。
【答弁/坂田篤教育長】
手元に中学生が書いた作文がありますので、ちょっとご紹介します。
「私は職場体験で、市内の農家に行き農作業を体験しました。最初は慣れない作業ばかりだったけれど、コツをつかむと作業が進み、とても面白いと思いました。でもよく考えてみると、この野菜たちは、もともと1粒の種で、生産者の人たちが苦労して作った努力の塊だと思うと、今まで残していた野菜に対して、ごめんねという感情を抱くようになりました。小さい頃から祖母や祖父の畑仕事を手伝ってきましたが、野菜がおいしく育ってよかったと思うことは一度もありませんでした。だけど、この農業体験で食べ物に感謝すること、それと苦労して育てたものはおいしいということも学びました。これからは好き嫌いなく、食べ物をおいしく食べようと思います。」
まさに、喜多方と同じように、この子は農業で学んだわけですね。感謝の気持ち、勤労、食育、また、環境、生物学、命の教育、郷土愛、こういうものを通して学ぶことができた。教育の目的を達成する方法というのは、多様でございます。実際に、農を通して、特色ある活動をやっている学校というのが、例えば芝山小学校、清瀬第十小学校、清瀬第二中学校、清瀬第五中学校、こういう学校あります。それぞれ環境や、校長の経営方針とか、そういうものがありますので、それを我々最大限尊重しながら、でも、今いただいた一つの事例ですね。今まさに逆提案しながら、農業を使った子どもたちの教育の目的を達成していくというところを働きかけていきたいと思います。
プールの活用については、これは技術的な問題が多数ございます。これからやはりある程度、学識経験者、農を専門に研究されていらっしゃる方と連携を取りながら、何か可能性が探れないか。そこはぜひやってみたいと思っております。以上です。ありがとうございました。
Posted by takosuzuki
│
│■議会報告/City Concil Report | 学校・教育・子育て