2026年03月08日

■災害後方支援活動(遠野市)、オガールプロジェクト(紫波市)、視察しました。

遠野市駅

昨年、11/17(月)〜18(火)と会派視察で、岩手県遠野市と紫波町に伺いました。前の週の木金で常任委員会視察に行ったばかりで土日を挟んでの強行軍でしたが、初めての岩手県視察で楽しみでした。

初日、遠野市です。ここでは「災害後方支援活動」についてです。遠野駅からタクシーに乗って20分ほどのところに“災害後方支援センター”があります。ここでご説明頂きました。

遠野市災害後方支援センター

東日本大震災における遠野市の後方支援活動
遠野市は、内陸の盛岡市と沿岸の釜石市・大槌町の中間に位置し、ヘリコプターで双方へ約15分という戦略的要衝にあります。また、全域が強固な花崗岩の地盤であり、地震の揺れに強いという特性を持っていました。

かつて明治三陸地震(1896年)の際にも沿岸部を支援した歴史があり、当時の本田市長(元県防災課長)は「必ず来る三陸沖地震」を見据え、同市の役割を「後方支援」と明確に定義。周囲の無理解を押し切り、事前に沿岸自治体との連携や、沿岸被災を想定した防災訓練を重ねていたことが、震災当日の迅速な初動につながりました。

遠野市災害後方支援資料館
センターと同じ施設内にある遠野市災害後方支援資料館にて

遠野市は東日本大震災時、地理的優位性と事前の戦略に基づき、沿岸被災地を支える「後方支援拠点」として機能しました。

発災直後から運動公園を拠点に物資輸送を開始。自衛隊や医療チーム、ボランティア等を受け入れる「ハブ」となり、国を介さない自治体間の「水平連携」によって、現場ニーズへの即応を実現しました。

遠野市災害後方支援資料館

遠野市災害後方支援資料館

当時の市長は「責任は自分が取る」と明言し、平時のルールを越えた“現場の即断即決”を許容しました。また、支援物資のミスマッチ解消や、避難者を地域の一員として迎えるコミュニティ支援など、実戦的な教訓も得られました。

遠野市の事例は、被災が軽微な自治体が即座に支援へ回る“「後方自治体」”の重要性を定義しました。平時からの役割明確化と、非常時の柔軟な意思決定システムの構築が不可欠です。

遠野ふるさと村

視察を終えての帰路、ちょっと足を延ばして(自費です)遠野ふるさと村に寄りました。

ちょうどその頃、ここをロケ地にした浅田次郎さん原作のNHK『母の待つ里』の放映が終わったばかりでした。『豊臣兄弟』のロケもここだそうです。

紫波中央駅

翌日は、紫波町です。遠野市の視察終わりで紫波町に行きましたが、あいにく食べ物屋さんがどこもお休みで、それぞれ部屋でカップ麺を食べました。宿泊は、紫波中央駅前の視察先、オガール紫波の施設内にあります。

オガール紫波全景
オガール紫波の全景

研修報告:紫波町「オガールプロジェクト」に学ぶ自立型まちづくり
岩手県紫波町が進めた「オガールプロジェクト」は、JR紫波中央駅前の未利用地(約10.7ha)を舞台にした、日本を代表する公民連携(PPP)の成功事例です。長年、財政難から開発が停滞していた同地において、町は「補助金に頼らず、自ら稼ぎ、町に富をもたらす拠点」という逆転の発想で開発に挑みました。

このプロジェクトの最大の特徴は、行政と民間の中間に立ち、両者の「通訳」および「実務の代理人」として機能する第3セクター「オガール紫波株式会社」の存在です。従来の補助金頼みの開発ではなく、独立採算を目指す経営視点が導入されました。

オガール紫波での合同視察

オガール方式の根幹は、不動産賃貸業としての徹底した「逆算」にあります。まず、盛岡市近郊の家賃相場を精査し、そこから逆算して建築費を決定しました。次に、設計前にテナントと賃料を100%確定させる手法をとり、銀行融資を引き出すための「収益の裏付け」を確保しました。これにより、事業リスクを極小化したのです。

集客の核(アンカー)には「図書館」を据えました。消費を目的としない公共施設は、人口減少下でも安定した人流を生みます。この人波を背景に、民間エリア(カフェや医院、産直等)の収益性を高めるという、公共と民間が互いの強みを活かし合う高度な設計がなされています。

プロジェクトは、単なる賑わい作りにとどまらず、「地域内経済循環」を徹底しています。
・木造建築の採用: 町産の木材を活用し、建設費を地元の林業・製材業へ還元。
・エネルギー供給: 木質バイオマスによる地域熱供給システムを構築。
・地代と税収: 町有地を民間に貸し出すことで「地代」を得、民間施設からは「固定資産税」が入る。

オガール紫波物産店
オガール紫波に施設内にある物産店

かつての公共施設が「建てる=維持費の増加」であったのに対し、オガールは「建てる=町の歳入増」へと構造を転換させました。

成功の裏には、強力なリーダーシップと緻密な合意形成がありました。当時の町長は「行政が口を出さない」という覚悟を持ち、一方で議会に対しては「重要な契約には議決を必要とする条例」をあえて制定し、議会に当事者意識と責任を持たせました。また、周辺住民にはワークショップを重ね、中心部(オガール)の利益が町全体の活性化に波及する道筋を丁寧に説明しました。

オガールプロジェクトの核心は、「行政がリスクを抑えつつ、民間のノウハウで収益を生み出し、その果実で行政サービスの質を向上させる」という自立的な自治体経営のモデルです。

清瀬市においても、公共施設の再整備や未利用地の活用を検討する際、単なるコスト削減ではなく、「いかにして地域経済を回し、次世代に税収を残す仕組みを作るか」という経営的視点が、持続可能なまちづくりの鍵となることを強く示唆しています。

紫波町役場

初めての岩手の旅で、ご当地ラーメンも期待していたのですが、初日のお昼は乗り継ぎ駅の立ち食いそば、その晩はオガール紫波内で食べ物屋さんがお休みだったためコンビニ弁当。翌日のお昼は郡山での駅のおそば屋さんと、残念ながらちゃんと食べられる機会はありませんでした。

Posted by takosuzuki │ ■視察